ヒッチハイク2日目(後編) ~二人の神と出会う~
前回あまりにも長くなってしまったので急遽全編後編とわけることになりました。
ちなみに毎回言葉遣いが違ったりするのは僕が多重人格なだけですのであまり気にしないでください。ただただ気分屋なんです、すみません。
前回スペースハンドパワーウーマン集団に乗せてもらい、なんとか無事(?)に「めかりSA」に着くことはできました。どうやら彼女たちが宇宙から得た情報に寄るとここ「めかりSA」は大きくて綺麗で人も多いとのこと。これは期待ができそうだ。
誰もいない。
とりあえず人に会わなくては、としばらくふらふらとそこらへんを彷徨うこと約20分。
一人の年配のおじさんに遭遇、すぐさま声をかける。
3台目(計6台目)
めかりSA - 美東SA(60分)
ぼく「すみません、山口方面まで乗せてもらえませんか?」
おじさん「ん、あぁ、いいよ。ちょっとトイレ行くから少し待っててな」
あまりにもすんなり過ぎてあっけに取られつつも深々とお礼をし、しばらく待つことに。
せっかくだからここらへんで写真でも撮っておくか、と記念に1枚。
しばらくしておじさんが戻ってきて一言。
「これで何か飲み物でも買っておいで」
九州の端、めかりSAに神がいた。
その小銭を渡す動作には一切の無駄な動きもなく、どこから出したかすら見取ることができなかった…財布から出すには動きがあまりにも少なく、ポケットから出すにもポケットに手を入れた動作などなかったはずだ。間違いない、これがハンドパワーか。
痛みを取るとか氣を送り込むとかそういった次元ではない。ハンドパワーは宇宙からきているのではない。まさにこのお方の右手から発せられているのだ。
これはもうハンドパワーという存在を信じるしかなかった。さっき小馬鹿にしていた自分が馬鹿だった、、、
その小銭を跪いて受け取り走って自販機へ向かい飲み物を買い車へ乗り込む。
そして車はめかりSAを後にし美東SAに向かって動き出した。
どうやらこのお方は電気であったり橋の補強、トンネルの工事などを行う会社の社長さんらしい。
そしてまた新しく一つ事業を始めるところで、人のため、みんなのため、ということを仰っていた。
そう言った話をしていると突然、
神「ほれ、これ食うか」
なんということだ。。。
ちくわだ。
まただ、、、先ほどとは違い今度は左手で、しかも運転しながら前を見た状態で、音もなく袋の中から取り出した。。。こんな芸当不可能に近い、いや常人がなせる技ではない。
大体どのタイミングでこれを手に入れたのか、、、さきほど停車していたSAには練り物を売っているお店が一つあるだけだったはずだ、、もう理解できない。さっきのフロントワールドスペースハンドパワー集団といいこのお方といい、高速道路には理解できない何かがうごめきあっているのか。。。2日目にしてとんでもないお方と出会ってしまった。
ありがたくそのあたたかいちくわをいただき1時間ほどかけて美東SAに到着。お礼を言い、ドアを開けると
仏様「ほれ、そこらへんのトラックに声かけてこい、ここで待ってるから、ここがダメだったら次のSAに行こう」
そんな馬鹿な、、、この頃にはすっかり辺りは真っ暗になっていたけれど、確実にそのお方に後光が差しているのが見えた。
仏様と言っても過言でないほどの笑顔もはっきり見え、その顔を見ているとどこか懐かしくもあり心が落ち着く。
僕は全力でお礼を言い、半ドアになっていたおかげで点いていた室内灯を頼りにスケッチブックをリュックから出し猛ダッシュでトラックへと向かった。
1人、2人と断られたがどうにかここで誰かに拾ってもらいたい。
そして3人目に声をかける。
4台目(計7台目)
美東SA - 大阪摂津南IC(5時間51分)
長距離トラック運転手「大阪かぁ、一応今から向かうけど、乗る?」
感動だった、こんなにも短い時間で何人も、しかもとうとう大阪にまで行くことになるとは。
荷物を取りに行くことを伝え、仏様の元へダッシュで向かい拾ってもらえたことを伝える。
仏様「そうか、よかったな!うんうん、頑張れ」
今思い出しながら書いているだけでも涙が出てきそうなほどの優しい口調と暖かい笑顔。
ああ、出会えてよかった、これがヒッチハイクというものなのか、と実感しながら握手を交わし別れを告げた。
そして先ほどのトラックへ向かい、さっそく乗り込むことに、、、、トラックでかっ!!!さっきは必死のあまりよく見ていなかったけど実際乗ろうとすると座席は自分の頭上遥か上。足掛けが3つ付いており慎重に足をかけながらゆっくり上る。
再度お礼を言い自己紹介をしつつ車は大阪へと向かう。
時間は19時を回っており到着予定は深夜1時半。ヒッチハイクを始めて以来、最長乗車時間だ。
トラックの運転手さんに乗せてもらったらいろいろと長距離トラックの運転について聞きたいこともあり、一通り質問をした。あまりにも長い時間乗せてもらったため、ここには書ききれないほどのことを話した。
トラックの運転はどれぐらいのペースなのか
休みはあるのか
どこからどこまでの距離を走るのか
給料はいいのか
トラックはいくらぐらいするのか
何を積んでいるのか
危険な目に遭ったことはあるのか
寝るときはどうしているのか
ニュースであまり見かけないけど、トラックは事故ったりしてないのか
などなど
とにかくたくさん聞いてみた。
そしてわかったことがある。
長距離トラックの運転手は神様だ。
いや、ただただ乗せてくれた方が神様だったのかもしれない、けれど毎日毎日毎日毎日、何度も何度も何度も何度も、行っては来たり行っては来たり行っては来たり。
夜中に、景色も変わらない高速道路をひたすら走っては私たちみんなの生活に必要な物資が日本各地へと届けられている。しかもとてつもない長い距離、長い時間を一人で運転する。もはや修行と言ってもおかしくないだろう。いや、別に修行ではないと思うけど、けれどもはっきり言って自分にはできないだろう。
実質、大阪へ向かうこの数時間の間で一度意識が吹っ飛んでしまった。絶対に寝ないようにしようと、そう決めていたのに一瞬、本当に一瞬、意識が吹っ飛んだ。
しかもそんな時に限って左側を走っていたトラックがいきなり車線変更をしてきて前に入ってこようとした。その時の大きな揺れで意識は戻ったけれどこれがもし自分が運転する立場であったなら間違い無く事故ってただろう。
なので声を大にして言わせてほしい。
今後僕には長距離運転を頼まないでください、お願いします。
でも本当に、これだけの距離を夜中に延々と、しかも一人で運転するだなんて、並大抵のことではない。だからみんなには知っておいてほしい。自分たちが普段何気無く手にしている日用品、雑貨、雑誌などはこういった苦労の上で手にすることができるということを。
自分はただただ隣に乗っていただけで、しかも1回だけしか体験していないので偉そうには言えないけれど、今回の旅で知ることができて本当に良かったと感じた。
そして途中途中で休憩を挟みながら深夜1時半、目的地「大阪」へ到着!!!
大阪に入った瞬間あまりにテンションあがって叫んでしまってすみませんでした。
記念に一緒に写真を撮り、握手を交わし移動しやすい場所へ降ろしていただき別れを告げた。本当にこの長時間、長距離の間乗せていただきありがとうございました。
さて、いよいよヒッチハイクも大阪編へ!
まだまだ先は長いけれど、とりあえず少しの間大阪で観光でもしながらゆっくりしようかと思います。
ヒッチハイク九州脱出編、これまで乗せていただき、何かと恵んでくださったり応援の声をかけてくれた方々、本当にありがとうございます!必ず目的地まで行き無事帰ってきます!!!