ヒッチハイク2日目 ~そなたはハンドパワーを信じますか?~
10:00
福岡天神にてヒッチハイクポイントを探す。
帰りたい。
今ならまだ2000円で帰れる。
1時間半もあれば家に着いて、ゆっくりご飯食べてお風呂に入って気持ちよく寝れる。。。
帰らせて。
12:00
知人(女)と合流する。
昼ごはんを奢ってもらう。
おやつをもらう。
14:00
背中を押され、やる気をもらいヒッチハイク再開
羞恥心が邪魔をしてなかなか思うようにいかない
15:00
作戦変更、都市高入り口前の信号待ちの車を前から1台ずつノックしてスケッチブックを見せる。
きっと後ろの車は(次は俺の車だ)と思っていたことだろう。そんなのはもうどうでもいい。羞恥心を完全に捨て去る。
4回目の赤信号の時、本日1台目に拾ってもらう。
1台目
天神北IC - 直方SA(37分)
とある貿易会社の社長さん
大学時代をアメリカで過ごし日本に帰ってきて起業
友人にヒッチハイク経験者あり
直方SAに着きコーヒーとおにぎり2個を恵んでくれる。
ありがとうございます!!!
直方SAにて本日2台目を探す
ヒッチハイク2日目にしてようやく声をかけることに慣れてきた。ナンバープレートで山口方面の車を見つけ順に声をかけていく。
今日は山口まで行けそうな気がする。というか絶対に行く!
2時間経過
ことごとく断られる。
がしかし昨日と違いこれぐらいで折れるようなハートではなくなっていた。
車のナンバープレートが山口方面のものを探していると二人の女性に声をかけられる。
今回の旅始まって以来の女性!!
新山口手前のSAまででよければということで乗せていただくことに。
2人に連れられ車へ行くとそこにはもう一人女性。計3人の女性に男1人という組み合わせに。なんという幸運!心が躍りながら助手席へ乗り込みいざ新山口方面へ!とうとう九州脱出か!!!!
2台目
直方SA - めかりSA(41分)
最初自己紹介を簡単に済ませ当たり障りのない会話をしていた
すると突然僕の後ろに座っていた女性が言った
そなたはハンドパワーを信じますか?
聞き間違いだ、これは間違いなく聞き間違いだ。
自分に何度もそう言い聞かせ後ろを振り返った。
そなたはハンドパワーを信じますか?
デジャヴだ。ガチのやつだ。
もう大人しく答えるしかない
えっと、、、ハンドパワーですか?
するとすかさず運転席の女性が言った。
前世を、前世をそなたは信じますか?
何かがおかしい。
ハンドパワー?前世?何を言っているんだこの2人は、ハンドパワー?この狭い空間でマウンテンゴリラでも出そうと言うのか?いや、でももしマウンテンゴリラを出すことができると言うのならそれは錬金術ではないのか、この女は禁術に手を染めてしまったのか、マウンテンゴリラという生き物の成分を熟知し何もない場所から生み出してしまう、水35ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ、石灰1.5Kg、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、珪素3g、その他少量の15の元素”とまではいかなくてもそれなりの化学式を心得ているのか、いや、そんなことは今はどうでもいい。今ここでマウンテンゴリラでも出されようものならたちまち4人乗りのこの車は窮屈になってしまう、その出てきたマウンテンゴリラが排泄行為真っ最中だとしたらたまったもんじゃない。きっと気持ち良く排泄行為をしていたのを邪魔されたマウンテンゴリラは機嫌を損ね、出来立てほやほやのうんこをゼロ距離で投げつけてくるだろう。この狭い空間で避けれるだろうか、、、いやまてよ、よくあるハンドパワーやらイリュージョンだと鳩を一度に軽く3.4匹は出している、ということは今ここで生み出されるマウンテンゴリラも1匹とは限らない。4人乗りの軽自動車に4匹ものマウンテンゴリラが出てきてしまったらもうそれはマンツーマンでうんこを投げつけられる。逃げる術はないのか、、、この女は一体そんな苦境を作り出して何を得ようと考えているのか、、、、前世?その前にまだハンドパワーについても頭の処理が追いつかないというのに。せめて2人で打ち合わせぐらいしっかりしとけ。質問ばらばらじゃねーかよ。どっちについて答えりゃいいかもわかんないしその2つの繋がりもよくわかんねーよ。ちょっと待て、一旦落ち着かせてくれ
「前世ですか、ぜんs...」
「そなたはきっと前世でわたしたちを拾ってくれた、だから今度はわたしたちがそなたを拾った、廻り廻るものなのですこの世は」
(世の中どんだけ狭いんだよ、ローテーション早っ!)
と思ったけれどここで何か抵抗したら間違いなくハンドパワーとかいう何かよくわからないふざけたもので消されると思い言葉を慎み、ただひたすらに頷いていた。
つづけて後ろの女性が言った
痛いところは?痛いところはありますか?
(いやもう何がなんだかわからなくて頭が痛い)と言いたい気持ちを押し殺しながら、
く、くびが!首が痛いです!!
と言うと今度は運転席の女性が言った
廻り廻る運転手「〇〇(ハンドパワー野郎)、彼を治しておやり。」
(お前ちょいちょい入ってくるなおい)
手力ウーマン「かしこまりました、それでは右肩から参ります。」
するといきなりぶつぶつ言いながら大人しくなり後ろで何かをしていた。怖くてその姿を見ることはできなかった。
手力ウーマン「...どうですか?」
人は不思議なものだ。こういう状況を作られ密閉された空間に閉じ込められると、どういうことか本当に痛みが取れたように感じてしまう。
ぼく「いえ、あんまり前と変わりません。」
すると手力ウーマンはこう言った。
手力ウーマン「もっと!!!もっと痛いところはありますか!!!?」
なんだこいつは、今のはなかったことにしたのか?それとも彼女の中ではこれで正しかったのか?もしかするとこれが布石となり最後にとんでもない結末になるのか?もっと?もっとだと、、、どう答えればいいんだ。もうあなたたちの存在が軽く痛いんだが、、、
ぼく「あ、足が、足が痛いです。すごく痛いでし!!」
手力ウーマン「それでは参ります。」
手力ウーマン「...どうですか?」
いや、実際座ったままだから何もわかんないし知る術がないんだけど、、、
ぼく「だ、だいぶさっきと違うような気が...」
廻り廻る運転手「〇〇、あなた残りの氣はどのくらいあるの?あと少しならもう全部使ってしまっていいから彼の体、全体的に治してあげな」
全体的も何もとりあえず今言ったどこかを治してくれ、というか全体的に治せるなら最初からそうはできなかったのか?なぜ勿体ぶった?なんだよ残りの氣って、治ってもないのにそんなに消耗したのかよ、何に使ったんだよさっきのは
手力ウーマン「それでは心臓へ氣を送り込みそこから比喩していきます」
もう勝手にしてくれ、
と思ったが少し気になったことがあったので聞いてみた
ぼく「ちなみにこの力はやっぱり中国とか東南アジアのほうからきてるんですか?」
すると一言
いいえ、宇宙です
もう何を言っても無駄のようだ。好きにやらせよう。多少頭がおかしくても乗せてもらってる以上感謝しよう。
そして目的地、「めかりSA」到着。
車から降り、痛みの具合を聞かれたので最後にお礼代わりに
「なんかだいぶ良くなった気がします!」
と答え、乗せてもらったお礼を告げた。
そして別れ際、廻り廻ってろ運転手が一言。
「あなた、本読んで勉強してみない?」
しねーよ!!!!
2日目はこの後2人に拾ってもらい当初の目的地「山口」を遥かに超え「大阪」へと到着することができた。
長くなってしまったのでその話は後半としよう。